2008年6月25日

プラハの夜

　雷を伴った雨も、降ったりやんだりになってきました。見慣れた風力発電の風車も少なくなってきました。そろそろ国境です。
　今日は国境越えなので、念のためパスポートを手荷物にしてきました。ところが国境をあっという間に通過。徐行すらしません。無人です。昔は大変だったのですが…それもそんなに昔のことではありませんよ。国境渋滞はもうないんですね。国境を超えたところで両替をします。さて、どのくらい換えましょうか。残りはあと1日。う～ん…あれ？１コルナ７円？確か前回は３円位だったはず。チェココルナはユーロに対しても強いようです。なので未だにユーロを導入していないんですね。国境はなくとも財布の壁は高い。…などと考えているうちに、以前私達が交流したムラダ・ボレスラフの街を過ぎ、プラハが近づいてきました。

　お世話になったガイドの和子さん、そして運転手のケナンさんとの契約はプラハのホテルまでです。この後はチェコのガイドさんと運転手さんに代わります。慣れ親しんだこのバスともお別れです。和子さんは一緒に一泊しますが、ケナンさんはすぐドイツへ帰るそうです。すごい仕事量です。でもたとえ夜中になっても家族の待つ我が家へ帰りたいですよね。７日間、丸一週間。本当にありがとうございました。運転は丁寧で上手だし、気がきくし、ちょっとした飛び込みの依頼も快く引き受けてくださいました。良い運転手さんに巡り合えてよかったです。和子さんにも本当にお世話になりました。観光だけでなく交流会・演奏会と、気を使う仕事だったと思います。なにせ日本人・ドイツ人・ポーランド人が入り混じっていましたからね。調整が大変だったのでは。ありがとうございました。

　ホテルに着いたら見たことのあるガイドさんが待っていました。原節子さん、おおるりがチェコに演奏旅行に来た時のガイドさんです。あの時またお会いできるといいですねと言ってお別れしましたが、本当にまたお会いすることになりました。６年ぶりです。

　幸い曇ってはいたものの雨は降っていませんでした。荷物を下ろし、ケナンさんに別れを告げ、いざチェックインです。このホテル、見た目は悪くないのですが、どうも中身は古いらしい。私の部屋は洗面の栓が壊れていました。カーテンが落ちてきたとか、ほかの部屋でもトラブル勃発。節子さんが走り回って確認し、ホテルの従業員がやってきて直して回ります。急ぐのには理由があります。実は今夜オプションでオペラ観劇が組まれています。オペラ組は夕食が早いのです。それまでにトラブルを解決してもらわなければいけません。

　午後５時半、オペラ組の早い夕食です。皆さんドレスアップしてホテルのレストランにやってきました。飲み物の注文を聞かれましたが、せっかくのオペラで居眠りをしたらもったいない。お酒はなしです。今夜の出し物はモーツァルトの『フィガロの結婚』。楽しいオペラです。実は事前に券を注文したのですが、なかなか思う通りの券がそろわず、ドレスデンのホテルで話し合い、かつ抽選で席を決めました。値段も色々。それでも日本で見るよりずっとリーズナブルです。あれ？和子さんも行かれますか。ん？佐和子さんも？添乗員が行っちゃったら、居残り組の夕食はだれが面倒みるんですか？…はい、それは私です。実は私は居残り組です。今夜は最後の夜。のんびりさせていただきます。
　あわただしく食事を済ませたオペラ組、なんだか怪しげな空を見上げながら出発していきました。今夜はバスではないですから。降られないといいですね。いってらっしゃ～い！

　さて、午後６時半、居残り組の夕食です。ところが飲み物の注文を取りに来る前にスープが運ばれてきました。これはもしや、さっき誰も注文しなかったから？ウェイターさんを呼び止めて、改めてドリンクのオーダーを出しました。片言でも英語が通じるので助かります。最後の晩餐のメニューはブロッコリーのスープ、サーモンのソテー、ポテトとキャベツ・人参のピクルス添え、巨大プディングの生クリーム添え。ふと外を見ると、ものすごい嵐！風も雨も荒れ狂っていて、一寸先も見えません。傘どころか車のワイパーも役立たずという位の暴風雨です。オペラ組、大丈夫かしら？皆せっかくおしゃれして行ったのに…などど心配しつつ、のんびりとディナーを頂き、部屋に引き揚げました。さあ、荷物をまとめなくちゃ！明日はいよいよ帰国です。
　あとで聞いたところによると、オペラ組、間一髪雨に降られなかったそうです。でも濡れてきたお客様も多く、館内はすごい湿度だったとか。汗だくになって大変だったそうです。そんなこんなでプラハの夜は更けていきました。